アメリカの高校の教科書にも使われている本とのことで、タイトルからもかなり上品なものを想像していたのですが、見事に裏切られました。正しく使われた知識は、どんな道徳よりも過激です。
99年のシアトル、WTOの総会に対してデモを行う女子学生を見た著者は、資本主義を攻撃するプラカードに、あなたがもう少し勉強して真実を知る力があれば、そんなことはやめるでしょうというリベラルな感想を持ちますが、実際に調べて行くに従い、実は彼女が正しかったことを、平易な文と、落ち着いた取材で見せてくれます。実際には、多くのグローバル企業が市場原理に従っているのではなく、市場原理を政治的に抑制・回避することを原則として発展していることを教えてくれます。それは、奴隷制、帝国主義的プランテーション時代から基本的に変わらない経済的な手法であり、もちろん労働者の環境は比較にならばいほど良くなってはいますが、変わらない原則の下もなりたっていると語っています。
輸入規制を行う場合、原産地表示はどうやって決められるのか。原料の綿花はUS製、マレーシアで織られ、中国製の糸で縫われ、裁断は香港。こうした複雑な問題を、次々と教えてくれ、グローバルゼーションに勝つためには、市場原理を味方に付けるだけでは不足で、政治的な参入が不可欠な現実を教えてくれます。
恐ろしい本です。★★★★★
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