2018年3月30日金曜日

「人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?」エリエザー・J・スタンバーグ

中身は、神経医が書いた脳科学の本です。タイトルセンス良すぎですが、誰が買うのかを考えると微妙。催眠術や、脳が理解できないために嘘をついたり、虚構を信じたり、脳への信頼性が読むごとになくなっていきます。人類、それでも科学を発達させているのは偉い。★★★

2018年3月29日木曜日

「錆と人間ビール缶から戦艦まで」ジョナサン・ウォルドマン

錆対策は大切だ、しかし、その道のプロが何をしているのかはよくわからない。そんな疑問に答えてくれます。特にボトリング会社の錆対策は究極。しかし、ここまでビビットな商品だとは思っていませんでした。石油パイプライン、船底、橋梁、次々に出てくる話にこの本の厚みが嬉しくなります。★★★★

2018年3月28日水曜日

「信州はエネルギーシフトする 環境先進国・ドイツをめざす長野県」田中信一郎

再生可能エネルギーを増やし、エネルギーの地産地消を進める長野県の担当者が書いた本です。太陽光は銀行からの借り入れが実績ベースでやりやすいが、小水力発電の場合行政が補助して、借り入れができる仕組みを作るなど、きちんとした仕組み作りを目指しているのがわかります。また、ヒノキの断熱サッシの開発など、効率化も推進しています。高断熱、高気密住宅の素材です。 再生可能エネルギーの導入はうまくいっていなというイメージだったのですが、この本のような取り組みが異例なのか、それとも、それでもうまくいってないのか、とても知りたくなりました。久々の★★★★★

2018年3月27日火曜日

「ギリシア人の物語III 新しき力」塩野七生

プラトンのアカデミアや、アリストテレスのリュケイオンなども登場。ソクラテス裁判の詳細。これだけでも楽しいのですが、英雄アレクサンダー大王が登場。彼の帝国と、ローマの違いは法律ベースの社会なのかどうか。ギリシア文明の魅力はこの法律ベースではない、個人の力の追求にあるのでしょう。手放しの英雄譚にならず、カエサルとの比較の話にも終始しないバランスのいい最終作になってます。★★★★

2018年3月23日金曜日

「ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊」塩野七生

ペリクレスが登場。アテネの繁栄が始まります。しかし、後半は民主政の没落。この辺りは、英雄大好きな塩野七生さんらしい件。民主制そのものに問題があるのかどうかまでは、踏み込んでいません。次巻に期待です。★★★

2018年3月22日木曜日

「鉄道は誰のものか」上岡直見

地方のローカル線廃止などをテーマに、公共交通は人権問題という視点で鉄道行政について書かれています。数字を元にどうすればいいのかの私案。問題点の洗い出しなども行われています。また、都市部の渋滞も解決案が示されるなど、なかなか具体的。しかし、僕にはこれが正しいか判断できる知識がない。もっと勉強しないと。★★★

2018年3月21日水曜日

「魂の沃野」北方 謙三

加賀一向一揆を舞台に、地侍を主人公にした小説です。蓮如も登場。領主として、侍として、人間として、宗教との距離を測っています。主人公が、ちょっと現代人してるような。闘いは部分は、文句なく面白いです。★★★

2018年3月20日火曜日

「魔法の世紀」落合 陽一

映像の20世紀から、魔法の世紀に移行し、モノやデザインが溶けていく時代。価値を産むのがアートになるのか、それとも生き方なのか。著者は、大学とメディアアートという2つの基盤を持つことで、この生き方を提示しているように思えます。他にも、ユタ大のサザーランドの学生たちがダイナブック、シリコングラフィックス、ピクサー、アドビを作っていく下りは、西田先生の講義ままで、読み物としても楽しいです。★★★★

2018年3月16日金曜日

「美森まんじゃしろのサオリさん」小川 一水

過疎の限界集落で、女子大生とフリータの二人が町営探偵として活躍。村の氏神様や、農業で使われるハイテクなど、小技が詰まっていて、読みやすく痛快。同じ著者の「天冥の標」は、徹底的に救いがなくて、こういう明るい小説も書けるとは思いませんでした。★★★★

2018年3月15日木曜日

「インターネットは自由を奪う――〈無料〉という落とし穴」アンドリュー・キーン

Googleによる無料サービスの提供など、新規参入を阻み一部の巨大企業が広告ベースで世界を変えていく現在は、まずいんじゃないという本です。レッシングの「コモンズ」がそのまま実現していくインターネットには、公共性がどんどんなくなっている。と言って、解決策はないという厳しい本。政府などによる規制や、民間の監視で止められるのか、他の価値観を見つけることで止めるべきなのか。日本の立ち位置も問われています。★★★★

2018年3月14日水曜日

「邪馬台戦記: 闇の牛王」東郷 隆

邪馬台国を舞台にした、古代史冒険小説。ジュブナイルのようですが、中国、朝鮮も含んだ古代の状況を具体的に小説にしてあります。歴史考察が半端じゃない。さすが、東郷 隆。資料の読み込みが凄い。第1巻のようで、長編小説になりそうです。★★★

2018年3月13日火曜日

「家康、江戸を建てる」門井慶喜

江戸という都市がどのように計画されて出来上がったのかを、工事を行った人物たちを中心に描いた連作短編。治水、飲み水、貨幣、権威の象徴江戸城と東京の原型を知ることができるタモリ倶楽部みたいな小説でした。★★★★

2018年3月8日木曜日

「硝子の魔術師」チャーリー・N・ホームバーグ

「紙の魔術師」の続編です。今回は、複数の魔術師が登場し、闘いが本格化します。硝子を使った魔術は、紙とは一味違って便利そうです。視覚効果抜群。映画化の際にはこの戦いがメインになるんでしょう。前作ほど主人公に感情移入できなくなってますが、次回に期待。★★★

2018年3月7日水曜日

「修道女フィデルマの探求」ピーター・トレメイン

古代アイルランドやサクソンの歴史、宗教、文化を織り込んだ探偵もの。シリーズになってて、短編で構成されています。主人公が明晰すぎて、迷信や信仰はどこに行ったのか不安になりますが、気分転換には最適です。★★★

2018年3月6日火曜日

「SF飯:宇宙港デルタ3の食料事情」銅大

久々のコミカルSF。藻が原料の人口食品を、辺境宇宙で美味しく調理。主人公は、全てがDマイナスという名家出身の勘当若旦那。超絶AIやら、超巨大戦艦なども出てきます。メニューは決して美味しそうとはいえませんが、お決まりのゆるいSFも時にはいいものです。★★

2018年3月2日金曜日

「シルトの梯子」グレッグ イーガン

人類が数千年生きるのが普通になった、2万年後。実験で、新しい空間を生み出してしまい、その空間が広がって、宇宙が侵食されていく。この空間をどうするかを、ポスト・ヒューマンが集まって相談という流石に読んでいてもついていけない展開。途中、暴力が振るわれるシーンが、1番違和感あるぐらい進化した人類たち。小説として面白いかは別として、やはりイーガンのSFは読んでしまいます。★★