2014年6月30日月曜日

8マン、サイボーグブルース、仮面ライダーを引き継ぐ名作「機龍警察 未亡旅団」月村 了衛

機龍警察 未亡旅団シリーズ3作目にして、完成された作品です。プロット、迫力、登場人物の個性、どれも1級品。子どもの腕を切り落として、マシンの腕を移植する少年兵構想にはゾッとしました。8マン、サイボーグブルース、仮面ライダー、日本SFの正統を受け継ぐ作品なのではないでしょうか。★★★★★

2014年6月29日日曜日

超豪華短編集「SFマガジン700 海外篇  創刊700号記念アンソロジー ハヤカワ文庫 SF」山岸真/編

SFマガジン700【海外篇】 (ハヤカワ文庫SF)さすがSFマガジン、超豪華です。 「遭難者」 アーサー・C・クラーク 「危険の報酬」 ロバート・シェクリイ 「夜明けとともに霧は沈み」 ジョージ・R・R・マーティン 「ホール・マン」 ラリイ・ニーヴン 「江戸の花」 ブルース・スターリング 「いっしょに生きよう」 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 「耳を澄まして」 イアン・マクドナルド 「対称(シンメトリー)」 グレッグ・イーガン 「孤独」 アーシュラ・K・ル・グィン 「ポータルズ・ノンストップ」 コニー・ウィリス 「小さき供物」 パオロ・バチガルピ 「息吹」 テッド・チャン コニー・ウィリス中でも傑作です。★★★★

2014年6月26日木曜日

ヒューゴー賞・ネビュラ賞・英国幻想文学大賞受賞「図書室の魔法」ジョー・ウォルトン

図書室の魔法 上 (創元SF文庫)10代の少女が日記形式で綴るファンタジー。魔法が使えて、妖精を見る事ができて、SFファンの女の子。80年代SF好きなら登場する作品はすべてお馴染み。図書館通いも同様でしょう。彼女の日記は真実なのか、物語なのか。SFファンの痛いところをついた作品ですが、評価ほど面白い作品ではないと思うんですが。少女に魔法なら、アンドレ・ノートン賞受賞「あたしと魔女の扉」J.ラーバレスティアのほうが出来はいいです。★★★

2014年6月24日火曜日

読み返したくなる名読本「三国志読本」宮城谷 正光

三国志読本「天知る、地知る、子知る、我知る」の名言を残した、後漢の秀才、楊震。三国志を彼から始めた理由から、読本は始まります。読んでいると、再読したくなる、これぞ読本。対談はそれほどでもないのですが、インタビューは別格です。★★★★

2014年6月23日月曜日

ソラシティで読んでたら、同じビルが登場しました「オービタル・クラウド」藤井太洋

オービタル・クラウド早くから買っていたのですが、一気読みできるまで置いときました。評判通りの素晴らしい出来。Kindle版を、お茶の水のソラシティで読んでいたら、同じビルが出てきてビックリ。オープンで、小型で、プログラム可能で、安いシステム。ハードはすべて、プログラムできる世界。エンジニアが頑張れる世界、読むと元気になれました。★★★★★

2014年6月22日日曜日

訳者で違う作品に「古代の遺物  ジョン・クロウリー 」浅倉久志/大森望/畔柳和代/柴田元幸 訳

古代の遺物 (未来の文学)寡作でも、世界幻想文学大賞に、ローカス賞も受賞。通好みのクロウリー。訳者もすごい。しかし、4人の翻訳はまるで違っていて、同じ作者とは到底思えません。内容は、宇宙人が来ようと、日常がじっくりと迫ってきて、その日常の方がよほど不条理。★★★

2014年6月17日火曜日

ハーレクインロマンス?「ミス・エルズワースと不機嫌な隣人」メアリ・ロビネット・コワル

ミス・エルズワースと不機嫌な隣人 (ハヤカワ文庫 FT コ 4-1)19世紀イギリスの田園生活。恋と婚活で、女性はすぐに気を失います。魔術も微妙だし、ファンタジーとしても面白みがないし、シリーズになっても読まないと思います。★★

2014年6月16日月曜日

世界と加賀が繋がってない「加賀開港始末」谷甲州

加賀開港始末冒頭、江戸末期の加賀藩の山歩きはさすがですが、急に話しに整合性がなくなり、桜田門外の変の隠れた歴史となる訳ですが、話しがちぐはぐ、説得力なし。これは、失敗作でしょう。★

2014年6月13日金曜日

対処には化学「サリン事件 科学者の目でテロの真相に迫る」Anthony T.Tu

サリン事件: 科学者の目でテロの真相に迫る19年前、ぼくも東西線に乗っていて、ニアミスしました。地下鉄サリンから2日目警察が、教団に踏み込みます。この間に、自衛隊から、防毒マスクと防護服を3,900セット借出し、装着訓練をしたそうです。そう考えると、2日間はとても短い。サリンが分解した後の化学物質を土地から探し、証拠とする。こうした流れに、作者は関わっていて、犯人にも遇いに行ってます。化学者でないと書けない内容、そして同様のテロを防ぐために欠かせない知見。新聞では読めない、化学の目の力が伝わる本です。★★★★★

2014年6月12日木曜日

高校生ぐらい向け?「白井博士の未来のゲームデザイン -エンターテインメントシステムの科学」白井 暁彦

白井博士の未来のゲームデザイン -エンターテインメントシステムの科学-東京工芸大学図書館にあったので、バス待ちの間に読み終えてしまいました。ゲームやエンターテイメントに興味を持った学生に、そんな気持ちと、勉強の間を埋めてあげる本?次回はもっと大人向けのもお願いします。★★★

2014年6月10日火曜日

3種族ハイペリオン?「オマル―導きの惑星―」ロラン・ジュヌフォール

オマル―導きの惑星―ちょっとハイペリオンぽい、フランスSF。3種族が共存しながら、緊張関係の中で6人が謎のチケットで集まった。その割に、謎はシンプル。民族的な風習以外に科学的な部分もないし、シリーズとしては力不足のようですが、つきあってみます。★★

2014年6月9日月曜日

諦め入ってませんか「天切り松闇がたり 第5巻 ライムライト」浅田 次郎

天切り松闇がたり 第五巻 ライムライト先日の「六兵衛 」はそうでもなかったが、最近の作品、諦めが入っていないだろうか。やせ我慢でも諦めはなく、星辰さへも背負って意地を通した登場人物たちはいなくなってしまって、身の回りにもいそうな感じの登場人物たち。もうちょっと頑張って欲しいものです。4巻から続いて、この作品も読むのが辛い、悲惨な話しとしか読めません。★★★

2014年6月8日日曜日

証明してません「ダーウィンを数学で証明する」グレゴリー・チャイティン

ダーウィンを数学で証明する頑張って読みましたが、似非科学としか思えません。どうすれば証明できるのかの仮説すらない。情報工学を適当に混ぜて、いい加減な事を書き連ねてるだけとしか思えません。これを出していいのか?★

2014年6月3日火曜日

シリーズ4作目で完成しました!「空中庭園の魔術師」ベン・アーロノヴィッチ

空中庭園の魔術師 (ハヤカワ文庫FT)3巻までは、魔術だったり、ロンドン警察あるあるだったり、川の女王や王の一族と煌びやかな設定が大勢をしめてましたが、じっくりと今までの構成を含めて本格的なミステリーが展開し始めました。面白い。設定が物語を産んでます。次回作は1年以上先なのか、次回作が待ち遠しいです。★★★★

2014年6月1日日曜日

ジュブナイル?「道を視る少年」オースン・スコット・カード

道を視る少年(上) (ハヤカワ文庫SF)褒めてる人が多いけど、面白くなかった。登場人物の行動原理が、全員同じ。ストーリーも、半分ぐらいで結果が読めてしまうし、細かいこだわりがあるのに、妙にご都合主義。不思議な能力もかなり合理的に使うのに、どうして存在するのかは謎のまま。「死者の代弁者」ほどの人間に対する洞察を持っているのに、この行動原理のいい加減な書き方は何なのだろう。シリーズらしいけど、あまり読みたくないし、どうしようか。★★