2010年12月30日木曜日

巨大肉食哺乳類を復活しよう「捕食者なき世界」ウィリアム ソウルゼンバーグ

捕食者なき世界狼や、ピューマがいなくなり、鹿が増えすぎて、森林が荒れ、やがては生物多様性そのものが失われていく。つまり、食物連鎖の頂点にいる生物がいなくなると、生物多様性が失われることになる。鯨、大型マグロが減り、それを食べていたシャチが、ラッコや、オットセイなどを食べ始め、ラッコがいなくなると、ヒトデが増えて、やがてケルプの海が絶滅、生物の多様性がまた失われる。実は、大型哺乳類は、人類によって1万2千年以上前から次々と絶滅していて、生物多様性が危機に陥っている。確かに、大型哺乳類がこの先進化して、新しい種が産まれることは地球上ではありえない気がします。すべての原因は、人類で、こうした大型哺乳類を、もう1度地球上に復活させようというプロジェクトまであるそうです。鯨、マグロは絶滅しなければいいという問題ではなく、こうした機能を果たせるほどの数が必要とすると、日本の食事事情にも大きな問題を抱えることになります。養殖だけでは、解決しない問題もあるんだと教えてくれます。日本近海も、クラゲだらけになってきいました。これも、海に大型の捕食者サメが減ったせいではないかとの指摘もあります。この本、予想以上に深刻な問題を投げかけてくれます。★★★★★

2010年12月29日水曜日

図書館に愛される漫画「黄色い本」高野 文子

黄色い本 (アフタヌーンKCデラックス (1488))この本は、漫画です。しかし、都内の公立図書館の半分以上が蔵書しているという、漫画なんです。図書館に愛される漫画といえばいいのでしょうか。内容は、就職を控えた女子高生が、世界の名作「チボー家の人々」(1962年発行の、全5巻組)を読むというシンプルなもの。主人公ジャックに時に話しかけたり、話しかけられたり、翻訳が一部のコマを埋め、その内容が彼女の読書というもの、その行為全体を表現しています。読書、そのものがテーマの漫画というわけです。★★★

2010年12月28日火曜日

東静岡駅から、巨大ガンダムを見る。

ガンダム ちょっと静岡に用事で、行ってきました。周りが撮っているので、ぼくも1枚だけ、タッチ。



2010年12月27日月曜日

翻訳家ならではの言葉へのこだわり「孕(はら)むことば」鴻巣友季子

孕むことば縦軸に、育児。横軸に、翻訳。女子力をプラスした、エッセー集です。産院でしか使われない言葉、頻回。フルベ族の言葉で、声をかけて、その人をさびしさから解放する言葉、イェーウトゥゴ。子どもが言葉を見つけて、使っていく様子などが力量のあるエッセーで綴られています。★★★★

2010年12月26日日曜日

今回は面白い「代価はバラ一輪―修道士カドフェルシリーズ(13) 」エリス ピーターズ

代価はバラ一輪 ―修道士カドフェルシリーズ(13)今回は、ちょっとの偶然でどんどん詰みを重ねていく犯人。計画性がないだけ、証拠も乏しい。すごく現実的なプロットで、面白かったです。★★★

2010年12月25日土曜日

浅倉 久志翻訳傑作選「きょうも上天気 SF短編傑作選」大森 望 (編集) 、 浅倉 久志 (翻訳)

きょうも上天気  SF短編傑作選 (角川文庫)浅倉 久志翻訳短編を集めた傑作選。フィリップ・K・ディックや、カート・ヴォネガット・ジュニアなどの作品が目白押し。読んだことがあるものばかりですが、懐かしいです。★★★★

2010年12月24日金曜日

新武侠小説「DRAGONBUSTER 竜盤七朝」秋山 瑞人

龍盤七朝 DRAGONBUSTER〈01〉 (電撃文庫)電撃文庫は読んだことがな方のですが、武侠小説ときいて読んでみました。世界が明るい。剣の技が理解の外ですが、それなりに面白かったです。続編も読もう。★★★

2010年12月23日木曜日

紫電改登場「マリアナ機動戦―覇者の戦塵1944〈3〉 」谷 甲州

マリアナ機動戦〈3〉―覇者の戦塵1944 (C・NOVELS)紫電改の開発話がメインですが、出撃する間もなく、アリアナ戦線でB29と戦うことになります。しかも、夜間、単座戦闘機がどこまで闘えるのか。いよいよ本土空爆が近付いてきます。★★★

2010年12月22日水曜日

ダビンチコードよりも荒唐無稽「ロスト・シンボル」ダン・ブラウン

ロスト・シンボル 上前半は面白かったのですが、後半失速しました。ダビンチコードのバチカンに対して、今度はU.Sの首都ワシントン。建国の父たちが残した膨大なシンボルを持つ建築物が次々に登場して、この部分はいうことなしの面白さ。しかし、フリーメイソンがみんな凄い人だったり、秘密の解明がインターネットでもできそうだったり、人間が絡むと面白さが吹っ飛びます。残念。★★★

2010年12月18日土曜日

Evernote4.1を入れました

Evernote4.1を入れました。ようやく軽くなりました。サクサクです。重かったのがウソのようです。3.5から、あげてなかったのですが、今回は正解のようです。



「史記 3 武帝紀」北方 謙三

史記 武帝紀〈三〉霍去病があっさり死去。いよいよ李陵や、司馬遷が登場してきます。しかし、騎馬戦という楽しい部分もありますが、歴史書として時代をどうとらえていくのは、これから、いい着地を期待してます。★★★

2010年12月15日水曜日

これを読まないとわからないですね「マルドゥック・ヴェロシティ 123」冲方丁

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)これを読んでマルドゥック・スクランブルの意味がようやくわかりました。あまりにも危険な科学成果を社会が享受するための、まったく新しい倫理規定。それは、科学そのものに意志を持たせその乱用を図らせること。なるほど、ようやくわからなかった社会的な前提が理解できました。この路線と、シンパシーによってつながった集団とが競い合って、新しい社会を作る巨大な実験場=マルデゥック・シティ。それを作るまでの産みの苦しみこそ、スクランブルだったわけですね。進化は淘汰を前提とし、その中で進化を意識しつつ科学成果を試せる少女。戦いとは、社会とではなく、人類進化を得るためのもの。SFってこうでなければ。★★★

2010年12月14日火曜日

ファミリーマートで、共通ビール券

ビール券 神田淡路町のコンビニ、ファミリーマートで、共通ビール券を使ってみました。写真の通り、商品券としてPOSを通せました。ビール券、思ったよりいろんなところで使えるようです。



2010年12月13日月曜日

これもSF「逃げゆく物語の話 ゼロ年代日本SFベスト集成〈F〉」大森望

逃げゆく物語の話 ゼロ年代日本SFベスト集成<F> (創元SF文庫)これだってSFだ、とはいうものの10年間の中から集めたほとんどが、あまりにもSFっぽくなく、しかも、諧謔にとみすぎなのでは。明治時代の私小説短篇集のようです。★★★

「ぼくの、マシン ゼロ年代日本SFベスト集成〈S〉」大森望

ぼくの、マシン ゼロ年代日本SFベスト集成<S> (創元SF文庫)2000年~2009年のいい作品短篇集、しかも、SFっぽいものばかり。問題は、ほぼ読んだことのある作品ということですが、非常に懐かしく読めました。ラギッド・ガールや、ぼくの、マシン などが入ってます。★★★

2010年12月12日日曜日

出来のいい正統派ファンタジー「黒猫オルドウィンの冒険―三びきの魔法使い、旅に出る」アダム・ジェイ・エプスタイン

黒猫オルドウィンの冒険 三びきの魔法使い、旅に出る猫と、アオカケスと、アマガエル。3匹の使い魔、ファミリアのマスターが攫われた。攫ったのは、悪い魔女。マスターを助けるべく、3匹の冒険が始まる。と、超正統派、しかも、じっくりと読み込めます。出来がいい、大人も読めるファンタジーです。続編もでるそうで、これは楽しみ。★★★

2010年12月11日土曜日

バンド・デシネ雑誌発刊「ユーロマンガ 1」 ニコラ・ド・クレシー (著) 、 カネパ、バルブッチ、その他

ユーロマンガ 1カネパ&バルブッチ「スカイドール」、ニコラ・ド・クレシー「天空のビバンドム」などが掲載されています。フランス・ベルギーの漫画、バンド・デシネの雑誌です。オールカラー、デカイ判型、すべて引きのバンド・デシネ独特のコマ割り。時間をかけて読みましょう。★★★

2010年12月9日木曜日

「マルドゥック・スクランブル 圧縮 燃焼 排気」冲方丁

マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)生命維持のために施された違法科学による、人体改造。生き残るためには、自分の有用性を証明しなければならない。この部分で躓きました。登場人物が感じる有用性と、社会が要求する有用性が同じであるはずもなく、生き残ることを最優先した敵役が最後には否定されるのもおかしい。それと、天地明察でもそうでしたが、登場人物が自分が感動したと言葉を使って延々と書かれると、どうしても気分が小説からそれてしまいます。ああ、感動したのね、よかったね、状態に。相性が悪いのでしょうか。★★

2010年12月8日水曜日

エヴァンゲリオンの極太明朝L字タイトルも「市川崑のタイポグラフィ 「犬神家の一族」の明朝体研究」小谷 充

市川崑のタイポグラフィ 「犬神家の一族」の明朝体研究犬神家で使われた、極太明朝体L字タイトルテロップ。この書体の探索、市川崑の他のタイトル分析、時代性、写真植字の歴史、すべてが簡単にまとめられ、まるでミステリーを読むかのように謎が解かれます。ぼくの世代には、ひたすら懐かしいです。★★★★★

2010年12月1日水曜日

キリスト謎の宝よりも真実が面白い「十字軍物語〈1〉」塩野 七生

十字軍物語〈1〉第1次十字軍が、イェルサレム王国を作るまでが1巻です。数々の伝奇小説に登場し、エルサレムの神殿から、キリスト驚異の宝物を盗掘、古代の知恵の再発見者として知られる、ゴドフロア、ボードワン、タンクレディたちの真実の姿は、どんな伝奇小説よりも面白かったです。
ダ・ヴィンチ・コードでは、聖杯伝説に結び付けられ、シオン修道会を開いたと書かれたゴドフロア、しかし、そんなインチキの姿よりも、この本のゴドフロアの方が、何倍も面白い。これだけ宗教色の薄い、十字軍を描けたのも、この作者ならではでしょう。しかし、移動中も重装歩兵の装備のまま移動したというのは本当なのでしょうか。これだけでは、納得できないんですが。★★★★