2011年1月31日月曜日

再読US最高の作家「スロー・ラーナー 」トマス ピンチョン

スロー・ラーナー (ちくま文庫)US最高の作家といえば、ピンチョンという方も多いはず。初期作品集で、おまけに作者自身による解説付き。懐かしくなって、読み返してました。しかし、ピンチョンを読むといつも、自分が読み方を間違えているのではないか、意味を誤解してるのではという不安が湧いてきます。ピンチョンを読むのは、古くからのアメリカ国民でないと、読めないのではないか、ましてや日本語ではダメなのではと何故か、強く感じながら読んでいる自分を見つけます。それでも、面白いんですが。もちろん誤解しても、意味を取り違えても、読書が愉しければ問題ないはずなのですが、それでも、こう思ってしまう作家が、ぼくにはピンチョンなんです。★★★

2011年1月30日日曜日

異端審問登場「異端の徒弟―修道士カドフェルシリーズ(16)」エリス ピーターズ

異端の徒弟 -修道士カドフェルシリーズ(16)聖地巡礼から返ってきた若者が、自分の意見を持ったばかりに、異端審問にかけられそうになる。カドフェルには何もできない問題発生。並行して、殺人事件はカドフェル範疇。しかし、捜査でも、薬でも助けられない問題はそのままどこかに無くなってしまいました。これでいいのでしょうか???★★

2011年1月29日土曜日

15冊の中では最高傑作「ハルイン修道士の告白―修道士カドフェルシリーズ(15)」エリス ピーターズ

ハルイン修道士の告白 -修道士カドフェルシリーズ(15) 光文社文庫死を前に、過去の罪を告解した修道士が、命を永らえ、贖罪の旅に出る。お供は、我らがカドフェル。修道院を出て、シュルズベリーの街をも離れ、旅の描写が格別です。神の恩寵とか書きたくなる結末も宗教色を抑え、人間味がある文体。小説としてよくできてる、今までで1番愉しめました。★★★★

読み手もすでに30年「新・魔獣狩り13 完結編・倭王の城 下」夢枕獏

新・魔獣狩り13 完結編・倭王の城 下 (サイコダイバー・シリーズ25)12巻ではもの凄く心配してしまいましたが、30年近い年月を費やし、それなりの大団円です。もちろん初期のインパクトもないし、主人公はあしたのジョーのようになってしまうし、それなりに不満が残りそうな部分はありますが、それでも、一応の終了です。30年間、人生観や文体が変わらない作家もいないでしょうし、そのなかでの完結を喜びたいと思います。読後に、トマス ピンチョンの「スロー・ラーナー」が読みたくなって再読を始めました。書き手だけでなく、読み手としての自分も30年を経ていることを痛感しています。★★★


2011年1月26日水曜日

キムチチャーハンにぴったり「備後漬物 旨えびキムチ」

K_19 上野でキムチを買うときは、本格派キムチが欲しいのですが、スーパーでキムチを買うときは、キムチチャーハン用です。つまり、本格的でなくてもOK。しかし、なかなかいいものがなかったのですが、これは比較的アタリです。ギャル曽根オススメとか書いてある商品。
キムチチャーハンは、バターをタップリで、キムチを炒め、そこに温かいご飯を少しずつ足していき、最後に溶き卵をかけるという、ちょっとベタついたやつ。キムチと、ご飯さへあれば十分。豚コマがあれば豪華版。バタータップリというのが、大切です。 



2011年1月25日火曜日

「史記 武帝紀四」北方謙三

史記 武帝紀四武帝は、泰山封禅に夢中。いよいよ老後の問題点がぞろぞろでてきて、匈奴と好対象として描かれ始めます。李陵は、将校として活躍中。そして、蘇武がいよいよ登場。匈奴への施設として派遣されました。司馬遷は、相変わらずで、気難しい文官のままです。この後、幸せな人は誰もいない記述をどう収めていくのか、とりあえず4巻は面白かったです。★★★

2011年1月24日月曜日

NOVA 2---書き下ろし日本SFコレクション 大森 望 (編集)

NOVA 2---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)NOVA1が、ハヤカワSFでお馴染みのメンバーなら、他の出版社で活躍中の作家といった感じです。宮部みゆき、津原泰水とか、その分安定した習作がいっぱいで安心して読めます。中でも、津原泰水の「五色の舟」はおすすめ。それと、神林長平の作品も入っています。★★★

2011年1月20日木曜日

戦国時代の新しい見方「百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)」黒田 基樹

百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)武田信玄が父親を追放したのは、続く飢饉に対する対応のためだった。戦国時代、飢饉は慢性的で、逃散、一揆は日常的。それどころか、村が他の村を襲うことまであり、他大名の部隊が来ると、食べ物を軒並み持って行ってしまう。そうした中で、生活の全ては村を中心に行われていた。それは、領主対策も年貢を納めるのもすべて、村で行う。こうした経済体制の中で、大名が成り立っていた。戦国時代の見方を十分に変えてくれるだけの説得力があります。★★★★

2011年1月19日水曜日

設定がいいだけに「キップをなくして」池沢 夏樹

キップをなくしてキップを無くした子どもは、改札から出られない。駅の子になって、東京駅で暮らすことになる。この抜群のアイデアが、十分に生きてないような。子どもを描くのがこんなに下手な作家のはずがないのに。★★

鍋洗い専用、重曹

Juso_01 アルミのソースパンを焦がしてしまいました。鍋の中も周囲も、ボロボロで、泣きそうです。大きなスーパーにいって、スチールウールと重曹を買出し。探してみると、鍋洗い専用の重曹を発見。アルミで黒ずむかもしれませんが、しかたないです。とりあえず、これから磨いてみます。



2011年1月18日火曜日

au携帯のガラスが割れる

渋谷で立ち止まって、携帯を見ていたら、走ってきた男性にぶつかられて、携帯のガラスが割れていまいました。早速、修理です。auのサイトを見ると、電源ケーブルも持って来いとか、身分証明書とか、印鑑とか書いてあります。実際には、本体と身分証明書だけで大丈夫でした。まず、本体、次に保険証を提示。修理に1週間から10日だそうです。電源は持って帰る事になりました。代換え機をだしてもらって、10分ほどで依頼終了。代換え機の使い方が、よくわからないので苦戦中です。



2011年1月16日日曜日

20年の結末ですが「新・魔獣狩り12 完結編・倭王の城 上」夢枕獏

新・魔獣狩り12 完結編・倭王の城 上 (サイコダイバー・シリーズ24)20年以上もかかったシリーズも後2冊。延々と説明が続いて、物語になりません。文成仙吉は、脇役のまま。樹と話したり、洋服の話とかいつもの表現が未だに続きます。残り1冊、大丈夫なんでしょうか。★

2011年1月15日土曜日

イケイケの史観「繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史」マット・リドレー

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(上)テクノロジーは分業によって可能になり、市場での交換がイノベーションをもたらす。重要なのは、人類は進歩してきており、これを阻害しないことだ。このイケイケの歴史観が延々続きます。消えた文明の後、停滞が続いたことや、イノベーションが常に新しい世界を救ってくれるという部分には触れられません。しかし、読むと悲観主義ばかりというのも変だと思えるのは流石。★★★


2011年1月11日火曜日

「楊令伝 15 天穹の章」北方 謙三

楊令伝 15 天穹の章楊令伝も、ついに最終巻です。個人の戦いを描いてきた水滸伝から一転、戦いそのものがメインテーマになった楊令伝。騎馬戦から、歩兵の戦い、船による戦い、要塞戦といろんな戦いを描いて、とうとう経済戦争まで書いてしまいました。しかし、どれも面白くなかった、小説家の体質としてこうしたテーマは合ってないのではないでしょうか。歴史を完全に無視して、自由に書いたこともそれに拍車をかけた気がします。暗殺を決行する呉用が、一文字ずつ黙々と文字をただ書く場面がありますが、作者そのもので、ついに何をやっているのか分からなくなってしまった感があります。★★

2011年1月8日土曜日

DOPPELGANGER(ドッペルギャンガー) ヒューマンノイドスリーピングバッグ DS04M

DOPPELGANGER(ドッペルギャンガー) ヒューマンノイドスリーピングバッグ  DS04M人体型の寝袋です。前に、宇宙服のような寝袋ということで欲しくなったのですが、ちょっと我慢してました。デカイ。ぼくでは、ブカブカです。これを着て、部屋の中を歩くと、汗が出るぐらい暖かいです。両手のところが、ジッパーになって開くようになっていて、手を出すこともできます。昨日は、ベットに入らず、これで寝てしまいました。

2011年1月7日金曜日

正統派ハードボイルド「ボディブロー」マーク・ストレンジ

ボディブロー (ハヤカワ・ミステリ文庫)どこもかしこも、正統派で古いハードボイルドです。元、ボクサーのホテル探偵。ホテルは、古くチェーンにも属さない格式ホテル。2階には、飛び切りのジャズバー。中国人の洋服屋が造る、格別のスーツ。探偵は、人に会うごとに隠された人生をみつけ、そのために傷ついていく。久々の快作です。アメリカ探偵作家クラブ“MWA”賞最優秀ペイパーバック賞受。★★★★

2011年1月6日木曜日

頭の周りを月が回転している王女様「アイダ王女の小さな月」ピアズ・アンソニイ

アイダ王女の小さな月―魔法の国ザンス〈21〉 (ハヤカワ文庫FT)木の精霊フォーンが冒険の旅に出ます。しかし、このシリーズの見所、主人公の成長がかなりいい加減。いつの間にか、彼は素晴らしい人物になってしまいます。頭の周りを回転する月という、なんとも魅力的なアイデアも、つまらない世界に落ち着いて、ちょっと今回は力足らずです。★★★

コメント集「教養としての聖書入門」松尾節

英文学を読むには聖書の知識が必須で、そのための本と、前書きにあったので読んでみましたが、とても中途半端。講義用のシラバスをそのまま本にしたような内容で、元の聖書を読んだ後に、読まないと意味が汲み取れない。注釈として詳しいかというと、そうでもない。★



2011年1月4日火曜日

珠玉の数学コラム「ベッドルームで群論を――数学的思考の愉しみ方」ブライアン・ヘイズ

ベッドルームで群論を――数学的思考の愉しみ方「サイエンティフィック・アメリカン」誌に25年に渡って掲載されたコラムの中から選ばれた、12本のコラムだけに、凄まじい面白さ。マットレスを偏りのないようにひっくり返すためのロジックを群論として示せないか、ランダムな数列に対する考察、遺伝暗号解読の歴史からムダのない暗号システムの考察の歴史へ、NP完全の日常的な捉え方。日常の中に数学思考が見つかり、それが世界を開いてくれます。簡単に見せるのではなく、その先が延々と見通せないほど続く、学ぶ楽しさが根底にあり、その心地良さを堪能できます。★★★★★

2011年1月3日月曜日

完全に教科書「毎日乗っている地下鉄の謎」梅原淳

毎日乗っている地下鉄の謎 (平凡社新書)地下鉄の定義から始まり、会社名、歴史、仕様、通常鉄道との違い、工法と、とにかく膨大な資料がコンパクトにまとめられています。うんちく、トリビアというより、教科書の精密さ、詳しさ。図表がいっぱい。地下鉄に就職でもしないかぎり必要のない知識のレベル。これを一般書で出して、売れるのなら、マニアの凄さに脱帽です。★★★

2011年1月2日日曜日

電撃文庫ですが「ブラックロッド」古橋 秀之

ブラックロッド (電撃文庫)先日の、秋山瑞人に続いて、電撃文庫です。武侠小説、古龍のようなタッチの魔道対決小説ですが、これはダメでした。★

2011年1月1日土曜日

文体が遅すぎる「エウスカディ」馳 星周

エウスカディ 上今年最初は、馳 星周でした。バスクの独立運動を繰り広げるテロ手段に、赤軍から派遣された日本人がいた。ということで、主人公と、その息子2代のお話が連動して交互に続きます。最初の爆弾テロぐらいまではよかったのですが、その後、延々と同じような行動パターンが続いて、それが全体の半分以上を占めて、さすがに飽き飽きしてきます。しかも、物語の展開が遅い、ようやく動き始める頃には結末が読めてる。謎解き向きではない作者が、謎解きに挑戦、ゆったりとした文体で新境地なのですが、あの焦燥感がなくなり、バスクの歴史的な事実や、食事だけでは物語が持ちません。でも、バスク料理は食べたくなります。ハモン・イベルコ焼くと美味しいかも。今度、挑戦してみます。★★