2016年3月10日木曜日

誰もが思ってる歴史の改造「人魚ノ肉」木下 昌輝

人魚ノ肉新選組を舞台にした連作伝奇小説です。この作者の面白いところは、誰もが思っている歴史上の人物を、ある視線から描き直すことで、思ってもいない人間の姿を見せてくれることだと思います。そういった意味では、描く人物の1人称はあってないのでは。そんな中、祇園祭を持ってきて、京都の街と新選組の関係性を見なおした「血の祭」は、方程式通りの傑作。扇屋の主人公の目を通して、新選組が描き直されます。祇園祭の幕を火事の中取りに戻るシーンは、白眉です。★★★★

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