2011年10月31日月曜日

大人の魅力が溢れてます「失われた都 イサークの図書館」ケン・スコールズ

失われた都 (上) (イサークの図書館)古代の科学を蘇らせた、中世世界。しかし、設定だけのファンタジーではありません。訓練を重ねて達人になった人間が次々に登場。自分たちの義務を果たしていきます。次々に人が死にますが、それもこの本のすごいところ。残った人たちは、それを乗り越えて生きていきます。骨太の物語。5部作の、第1巻です。★★★★

2011年10月24日月曜日

グインお祖母ちゃんは怒っています「いまファンタジーにできること」アーシュラ・K・ル=グウィン

いまファンタジーにできることまず、映画ゲド戦記に対する怒りが爆発します。太平洋の有色人種である、ゲドが白人になったこと、最もインパクトがあるシーンが、暴力になっていること。WEBにも書きました。翻訳していた方のサイトがありました。http://goo.gl/6lqGl今までのファンタジー評論集「夜の言葉」「ファンタジーと言葉」に続く第3作ですが、ファンタジーが行うことのできる世界への貢献、ファンタジーでしかできない社会への貢献が語られ、それからみると、ダメな作品が次々に叩かれています。それでも、キャラクターを作っている若い方には、是非、読んでいただきたい本です。★★★★

2011年10月21日金曜日

2011年 ニコライ堂のバザーは、11月4日5日です

昨年の記事検索がやたら増えてきたので、2011年の案内を。バザーは、11月4日金曜10時から16時、5日土曜10時から15時です。写真は、昨年のものです。今年もピロシキ楽しみです。

「就職しないで生きるには Cosmic Profit: How to Make Money Without Doing Time」レイモンド・マンゴー

就職しないで生きるには古き良き1970年代のアメリカ。Appleを産み、ドラックと理想と、夢に溢れたアメリカの夢が詰まってます。誰にも所有されない、所有しない。こんな時代にもどって欲しいです。今やお金だけのAppleを見ると悲しくなります。久々に再読。★★★

2011年10月19日水曜日

細かな研究を集めてあります「かたち 自然が創り出す美しいパターン」フィリップ・ボール

かたち: 自然が創り出す美しいパターンデザインの本のようですが、自然の作った形状についての、細かな研究を集めてあります。泡が最小面積を本当に作るのかといった問題がいっぱい、研究ですので数式もどんどん出てきます。労作。★★★

2011年10月18日火曜日

デザインで貧困に立ち向かう「世界を変えるデザイン ものづくりには夢がある」シンシア・スミス

世界を変えるデザイン――ものづくりには夢がある世界の90%の人は、1日2ドル以下で生活している。彼らの生活を、デザインされた新しい商品や、システムで変えていこう。ポットインポット、足踏みポンプ、効率のいいコンロ。スミソニアン/クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館で行われた、「残りの90%のためのデザイン展」が本になってます。お金持ち向けのデザインの終焉です。★★★★

2011年10月17日月曜日

分子生物学の新しい成果がいっぱい「ウェットウェア 単細胞は生きたコンピューターである」デニス・ブレイ

ウェットウェア: 単細胞は生きたコンピューターである生物学の基本書、でかくて高価で有名な「細胞の分子生物学」の著者のひとりでもあり、コンピュータモデルと生物の関連性の研究で、マイクロソフト賞も受賞している、有名な生物学者が書いたポピューラーサイエンス本です。脳のシナプスの記憶の素と考えられ始めた、CaMキナーゼⅡなどの新しい成果が次々に紹介されます。細菌が、自分たちが今集団でいるという、密度を知るために使っている、情報系クオラムセンシングなど、情報いっぱい。タンパク質と、コンピュータの相似を考えるなら、この本は欠かせません。★★★

2011年10月16日日曜日

ダグラス・アダムズのリアル旅ガイド「これが見納め―絶滅危惧の生きものたち、最後の光景」ダグラス・アダムス、マーク・カーワディン

これが見納め―― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景『銀河ヒッチハイク・ガイド』のダグラス・アダムスが、絶滅危惧種を見に行く紀行記です。自らを、アーサーに見てて、生物学者との2人組で旅を続けます。元々は、BBCのラジオ番組。それを、アダムスが書籍化してます。1990年発行。序文は、リチャード・ドーキンス。地球の全生物を殺したアダムズが、秘境へ。そこには、理解出来ない人類文明があり、奇矯な行動をする生物学者がナゼか絶滅動物を保護し、そして、その挙句絶滅動物に会う。しかし、それはキレイでもなく、ただ世界に15羽しか残っていなかったり、1本しかなかたりするだけだ。どうして、彼らを保護しなければならないのか、自分たちの文明がどれだけ狂っているか。これほどはっきりわからせてくれる本はないでしょう。後書きに書かれていた、アダムスの最高傑作というのもわかります。恐ろしい本で、読んで熱が出てしまいました。とにかく、読んで見る価値があります。★★★★★

2011年10月15日土曜日

「機龍警察」月村了衛

機龍警察(ハヤカワ文庫JA)警察組織小説に、傭兵の視点を加えることで、新しい犯罪小説になっています。それぞれが、自分の立場に線を引いて、その中で行動を規定しながら犯罪や、捜査を行う。それに、人型兵器の高機能が加わって、アニメのような面白さ。「機忍兵零牙」とは、まるで違ってます。続編が楽しみ。★★★★

2011年10月13日木曜日

「NOVA 4」大森望/責任編集

NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)京極夏彦、幻のデビュー作「最后の祖父」も入って、かなりSFしてます。しかし、それほどの傑作は入ってませんでした。★★

2011年10月11日火曜日

「ホンモノの日本語を話していますか?」金田一 春彦

ホンモノの日本語を話していますか? (角川oneテーマ21)岩波新書「日本語」のダイジェスト版といった感じ。新しい内容がなく、「日本語を反省してみませんか」が面白かったので、ちょっと残念。★★★

2011年10月10日月曜日

「機忍兵零牙」月村 了

機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)世界観の細かな詰がまるでなくて、山田風太郎風の忍者の闘いが続きますが、まるで面白くない。予想通りの展開、予想通りの結末。せめて違う世界を緻密に描いて欲しかった。★

2011年10月1日土曜日

オクロの天然原子炉って知りませんでした「スプーンと元素周期表  「最も簡潔な人類史」への手引き」サム・キーン

スプーンと元素周期表: 「最も簡潔な人類史」への手引き元素の周期表とか、知ってるよという方、下の方の新しい元素もご存知でしょうか。人工合成したとしても、どこまで作れるのかご存知ですか。化学が、物理と一緒になった現在だから書ける、周期表の本です。オクロの天然原子炉って、ぼくは始めて知りました。面白かった。★★★★