2014年3月31日月曜日

2014年3月30日日曜日

公共無料貸本屋からの脱却「つながる図書館 コミュニティの核をめざす試み」猪谷 千香

つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み (ちくま新書)「ナウシカの飛行具、作ってみた」の作者の新作です。公共無料貸本屋と呼ばれる図書館は、今後どうすればいいのか。図書館は考えています。そんな図書館を取材し、現状をまとめた本。お正月も開館する葛飾図書館。生涯学習の団体が運営する武蔵野市図書館。有料データベース閲覧ができる千代田図書館。ビジネスのサポートを行って起業を助ける、鳥取県立図書館。リプライズと呼ばれる、本の新しい読み方まで、幅広く書いてあります。ただ、詰め込みすぎで取材不足。いい面だけを、当事者から取材しただけの本になったのは残念。週に3館の図書館に通うぼくには物足りませんが、図書館に行ったことのない方は読んでみると、貸すだけが図書館でないことがわかると思います。★★

紙は布から作られていた「メディアとしての紙の文化史」ローター・ミュラー

メディアとしての紙の文化史アッバス朝からヨーロッパへの紙の伝搬から、文化も移動し、紙の普及に伴って簿記が始まり、本ばかりでなくトランプのようなものも作られた。製紙技術はあまり儲かる商売ではなかったし、匂いが酷い公害産業だった。しかも、紙はパルプからではなく、ぼろ布からできていて、中世はぼろ集めが貧民の仕事で、汚い酷い仕事だった。とにかく、面白い歴史が詰まってます。写本文化の隆盛についても紹介されていて勉強になります。★★★

2014年3月27日木曜日

短篇集のはずが「暦物語」西尾 維新

暦物語 (講談社BOX)短篇集のはずですが、書き方は長編と同じ。しかも、落とし方の下手な作者なので目も当てられません。★

2014年3月26日水曜日

驚きのないイーガン「白熱光」グレッグ・イーガン

白熱光 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)しっかりとした物語と、ハードSFがセットになって、認識の世界を広げてくれるイーガンですが、今回は失敗。難解、これはいつもの事ですが、ただただ読み取りにくくしているようにしか思えません。しかも、最後まで語られない神のような存在まで登場。たまには失敗もあっても仕方ないです。★★

2014年3月23日日曜日

「吉兆料理花伝」以来の名著なのでは「英国一家、日本を食べる」マイケル・ブース

英国一家、日本を食べる(亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)コルドン・ブルーで研修経験もある、英国人フードジャーナリストが、家族4人で100日間も日本で食べまくり。彼の書いた本の一部を翻訳した本のようですが、日本料理の魅力を伝えることでは、辻静夫の名著「吉兆料理花伝」以来の本ではないでしょうか。食べたくなる、嬉しい。出汁を頑張ってみようと思う、そんな背中を押してくれる本です。こんな日本の魅力を伝える本を書いてもらえて素直に嬉しくなりました。「吉兆料理花伝」も読んでない方は、ぜひ読んでみてください。日本料理の夢の国に行けます。★★★★

2014年3月18日火曜日

最早解決さえなし「陰陽師 蒼猴ノ巻」夢枕 獏

陰陽師 蒼猴ノ巻何冊目になるんでしょうか、さすがに雰囲気が変わってきて。最早解決さえしなくなってきました。あるがままに、趣向が変わってちょっと面白かったです。★★★

2014年3月17日月曜日

ビクトリア様式礼儀は兵器だったのです「ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ」ゲイル・キャリガー

ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ (英国空中学園譚)1作目がただのドタバタで、最低の作品でガッカリしていたのですが、前半は絶好調。特に試験の下りは、最高です。その後、トーンが落ちますが、狙いがわかってきました。★★★

2014年3月15日土曜日

ヒューゴー賞/ローカス賞受賞?「レッドスーツ」ジョン スコルジー

レッドスーツ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)スタートレックのパロディで、ヒューゴー賞/ローカス賞受賞、しかもスコルジーなら泣けるのかと思って読みましたが、肩すかし。これで受賞なのといったレベル。先も読めるし、最後の章もわかるけど、それほどでも。パロデリとしても2流なのでは。★★

2014年3月14日金曜日

エスプリはこの作家そのもの「機械探偵クリク・ロボット」カミ

機械探偵クリク・ロボット 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕30年ぐらい昔に、「エッフェル塔の潜水夫」を読みました。不思議なユーモアと皮肉。これこそフランス文学と思ったものです。早川の新作に、カミの名前を見つけて思わず手に取りました。ロボットが冷静な探偵として大活躍。大人のミステリーです。★★★

珠玉のユーモア短編「混沌ホテル」コニー・ウィリス

混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)短編が5本。すでに読んだことのあるのが、2本でした。ウィリスなので、表現が細かい。車のことをレクサスとか書いてて、ブランドの意味がなくなることを躊躇していない。最後の短編、「まれびとこぞりて」は、聖歌隊と宇宙人とのファーストコンタクトもの。これは、面白かったです。ウィリスが聖歌隊で歌っていたとは知りませんでした。★★★★

2014年3月13日木曜日

宣伝ほど無意味に死んでないよ「悲報伝」西尾 維新

悲報伝 (講談社ノベルス)シリーズ第4弾。魔法少女たちが、次々に無意味に死んで行くとか書かれていますが、淡々と死んで行きます。状況説明は出てくるようになりましたが、3冊目ほどのスピード感はなく、失速気味。★★★

2014年3月12日水曜日

日本の過去ひど過ぎ「本当はひどかった昔の日本 古典文学で知るしたたかな日本人」大塚ひかり

本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人子どもを殺したり、親を殺したり、人肉を食べたり、妊婦を殺したり、人の命が本当に安い。今でも、子どもを虐待したり、妊婦を突き飛ばしたりのニュースが流れますが、昔も同じというか、もっと酷い。現代、最高です。読んでて気分が悪くなりました。★★

2014年3月10日月曜日

1992-2003年「日本SF短篇50 4」日本SF作家クラブ・編

日本SF短篇50 IV 1993-2002―日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫 JA)大槻ケンヂ「くるぐる使い」、宮部みゆき「朽ちてゆくまで」、田中啓文「嘔吐した宇宙飛行士」。この3作は、鮮烈に覚えてました。この頃から、SFらしいSFがなくなってきたのを覚えています。★★★

2014年3月7日金曜日

ファンタジーとポップカルチャー「地下迷宮の魔術師」ベン アーロノヴィッチ

地下迷宮の魔術師 (ハヤカワ文庫FT)シリーズも3冊目。ロンドンのポップカルチャーと、街と、Jazz。そんな小説として魅力的な設定と、フリンタジーが融合したら面白いのも当然。3冊目でようやく開花。★★★

2014年3月6日木曜日

日本人以外も食べてるんだ「鮭鱸鱈鮪 食べる魚の未来」ポール・グリーンバーグ

鮭鱸鱈鮪 食べる魚の未来: 最後に残った天然食料資源と養殖漁業への提言魚の収穫にはいくつもの方法がある。野生の魚を、漁師が1対1でつり上げる。巨大漁船で根こそぎ収穫。養殖で、増やすが、餌の割合に収穫の効率がいいもの。養殖でも効率の悪いもの。そして、クジラだけは特別。実際に、魚資源は、危機的状況らしい。養殖すればいいと考えがちだが、過度の栄養のバラマキで海の環境が壊れてしまう。釣りの好きな著者が、考える理想の魚の食べ方は、漁師による小規模漁法で魚の価格は当然高くなる。回答は、見いだせないままだ。しかし、日本人はほとんど登場しない。鮭の養殖も、まずは品種改良から。とにかく、知らないことばかりで勉強になりました。★★★★