2011年11月29日火曜日

大学研究者の苦悩SF「あがり」松崎有理

あがり (創元日本SF叢書)第1回創元SF短編賞受賞作です。東北大学理学部をモデルにした、大学研究室を舞台に、理系女子ままのSF連作です。研究をし、論文を書き、研究者として生きる横を過ぎ去っていく妄想のようなものがSFとして書き出されていきます。食べ物やお弁当へのこだわりも、味付けになって、街の中に生きる人間を浮かび上がらせてます。★★★

2011年11月28日月曜日

抜群の読みやすさ「神は数学者か?: 万能な数学について」マリオ・リヴィオ

神は数学者か?: 万能な数学について数学エッセイで有名な著者のだけあって、読みやすい、面白い。数学は、発明されたものか、発見されたものか。これを、自然科学における数学な不条理な有効性と読み替えることで、数学と論理学が行き着いたゲーデルの解を回避して、その先に行こうといった内容です。しかし、この中で、ガリレオがニュートンの産まれた年に死んでいるとの記述にビックリしました。ガリレオが教会の異端審問にかけられたのが、1633年。惑星は太陽の周りを回っていて、その形は楕円だよとニュートンが方程式を提示した、「プリンキピア」発行が1687年。たった50年の間にこれほどの差があるとには驚きました。★★★

2011年11月27日日曜日

科学少年の夢「タングステンおじさん―化学と過ごした私の少年時代」オリヴァー サックス

タングステンおじさん―化学と過ごした私の少年時代「レナードの朝」などの精神科学エッセイで有名なサックスの少年時代の自伝です。 ロンドンで過ごす、夢の様な科学少年時代。放射物質もまだ手に入れられるだけでなく、硫酸銅を始めとする無機化学の薬剤がどっしり。加えて、タングステンなどの新しい物質のインゴット。男の子ならだれでも憧れる、少年時代を描いています。★★★★

2011年11月20日日曜日

使い心地抜群、OXO グッド・グリップス ナイロンヘッドトング (小)

OXO グッド・グリップス ナイロンヘッドトング (小)評判良かったので買って見ました。折りたたみモードで収納も楽です。使い心地もいいし、先はシリコンでテフロンフライパンでも安心して使えます。小さく切ったニンニクや、生姜もピンセット並みに掴めます。パスタのニンニク拾うのが楽になりました。

巨大ロボットオタク全開「ダーティペアの大復活」高千穂 遙

ダーティペアの大復活巨大ロボットが登場します。テンポも早くて、これは作者が楽しんで書いているのがよくわかります。しかし、武器とか古くて、SFがどれだけ進化していたかよくわかります。★★★

久々に「ダーティペアの大脱走」高千穂 遙

ダーティペアの大脱走 (ハヤカワ文庫JA―ダーティペア・シリーズ)何故か借りることになって、古いシリーズの読んでない本を読むことになりました。7冊のうちの3冊は読んでいたので、これが4巻です。しかし、いきなり出来が悪い。ご都合主義で、適当に物語が進んでします。うう。★★

2011年11月19日土曜日

ついに多元宇宙論が本命に「隠れていた宇宙」ブライアン・グリーン

隠れていた宇宙 (上)「エレガントな宇宙」では、見事に宇宙論を並べてくれましたが、この本では9つの多元宇宙論が紹介されます。上巻では、それぞれの内容を紹介。下巻では、証明不可能な宇宙論を研究することが、科学なのかの思弁的な考察が述べられます。古典的な、数学は発見するものか、発明されるものなのかといった概念を通じて、もはやSFとしか言えなくなった宇宙物理の意義が定義されていきます。この本の価値、判断はそれぞれで読んで考えていくしかないのでしょう。★★★

2011年11月15日火曜日

makeは好きだが「Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ」 (Make: Japan Books)

Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)料理は科学だ。化学の知識が役に立つ。その通りですが、ちょっとレベルが低いような。フランス料理のプロ用の本のほうが、この本よりも化学してます。雑誌makeは、大好きですが、もうちょっとレベル高くないと。「フランス料理の「なぜ」に答える」エリヴェ ティスなどの本のほうが、はるかに科学してます。しかし、日本との食文化の違いがこれほどあるとは思いませんでした。★★

「パリ 地下都市の歴史」ギュンター リアー、オリヴィエ ファイ

パリ 地下都市の歴史パリの地下には石灰岩の切り出し場があるだけでなく、地下水道、70万体以上の遺骨が放り込まれたカタコンベ、地下教会、地下鉄、とにかくモザイクのように地下王国が広がっているらしい。この石灰岩で、ベルサイユ宮殿なども立てられている。その不気味な地下でパーティーを行い、散歩し、麻薬にふけるパリ市民。ドイツに占領されたときは、ここがレジスタンスの拠点になり、とにかくパリの歴史が詰まってますが、読んでると気持ち悪くなります。★★★

2011年11月13日日曜日

これだけつまらない本というのも「少女不十分」西尾 維新

少女不十分 (講談社ノベルス)これだけツマラナイ本が出版されるというのも、凄いことのような気がします。★

イギリス田園の生活再び「人形遣いと絞首台」アラン・ブラッドリー

人形遣いと絞首台 (創元推理文庫)ミステリー各賞9冠獲得の『パイは小さな秘密を運ぶ』続編です。今回は、キレが悪い、登場人物ばかり多くて、思わせぶりですが、ほとんど関係なし。そのぶん、生活の端端が登場。一緒に生活している気分になれます。イギリス田園生活、遊びに行きたいです。★★★

ファンタジーで、ミステリー「空の都の神々は」N・K・ジェミシン

空の都の神々は (ハヤカワ文庫FT)ローカス賞受賞のファンタジーです。主な登場人物が、人間より神々の方が多い、そんな時代。世界を統べる王国の継承に、辺境の王女が呼び戻される。縦糸は、この儀式ですが、横糸は母親を殺された少女の犯人探し。奴隷となった神々の開放と絡まって、ダメなミステリーより、実に緻密な謎解きが、人間ならばの犯罪が描かれてます。3部作だそうで、次回は神々の時代が終わって、人間の中に混じって落とされた神が登場しそう。ミステリー作としての出来に期待します。★★★

2011年11月9日水曜日

競輪だって、自転車です「グランプリ」高千穂遙

グランプリ競輪の世界を、淡々と描く力作です。よく取材してあって、よくわからない競輪がかなり理解できるような気持ちになります。しかし、登場人物がほぼ特定できるせいか、みんないい人ばかり。物語としての魅力や、作者が伝えたい事がない、広報小説になってしまったのは残念です。★★★

2011年11月8日火曜日

SFというより、警察小説「機龍警察 自爆条項」月村了衛

機龍警察 自爆条項  (ハヤカワ・ミステリワールド)小型機動歩兵を駆使する、日本警察に雇われた3人の傭兵。彼らを取りまく、警察官僚と、現場刑事。対するは、アイルランドの凄腕テロリスト。各自の細かな表現が、リアリティを産み出して、87分署シリーズ並の警察小説に仕上がってます。日本人がこれを書けるとは、見事。★★★★

2011年11月5日土曜日

ニコライ堂バザーは、本日15時まで

ニコライ堂バザー行ってきました。今年も、人でいっぱい。肉のピロシキ、バナナケーキ、ゴーダチーズを買って帰りました。

2011年11月3日木曜日

カビだけじゃなく、ダニやウジまで「チーズの歴史―5000年の味わい豊かな物語」アンドリュー・ドルビー

チーズの歴史 5000年の味わい豊かな物語 (P‐Vine BOOKs)チーズウンチクが詰まってます。カビの生えたチーズだけではなく、ダニやウジがついたチーズ。レンネットに、草を使ったチーズ。ナチュラルチーズの世界を垣間見せてくれます。そして、無菌のチーズによって、本来の香りがなくなってしまい、本当のチーズに危機が訪れている現状まで、チーズが食べたくなること間違い無しの本です。★★★

売れて欲しい労作「時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集」高野史緒 編

時間はだれも待ってくれないいつまでもレムや、カフカではないでしょうというわけで、21世紀の東欧SF短篇集。世界観の違いだけでも、十分SF。しかも、どの作品も一級品です。チェルノブイビ事故を暑かった作品は、SFではなく普通の小説ですが、事故がなくても書かれていそうなSFのように読めるというのは開設通り。日本でも、福島という小説群が、これから書かれていくのでしょうか。とにかく、これだけの労作をまとめられた編者に感謝。★★★★